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引渡猶予とは

引渡猶予とは、不動産売買において決済や所有権移転を先に完了させたうえで、売主が一定期間引き続き物件を使用し、引渡しのみを後日に延期できるようにする契約上の取り決めを指します。
通常は決済と同時に明渡しを行いますが、住み替えや新居完成待ち、引越し準備などの事情により即時退去が難しい場合に設けられる実務的な特約です。
取引を止めずに売主の生活都合にも配慮できる柔軟な調整手段といえます。

猶予期間中は所有権が買主へ移転している一方、占有のみ売主が継続する状態となるため、法律関係としては使用貸借や一時的な賃貸借に近い性質を持ちます。
そのため無償か有償か、使用可能範囲、退去期限、日割金額、光熱費や管理費の負担、室内損傷時の原状回復責任などを具体的に定めておくことが不可欠です。
条件が曖昧なままだと、明渡遅延や費用負担をめぐる紛争につながるおそれがあります。

また猶予期間中の火災や事故などの危険負担、火災保険の適用関係、鍵の管理方法についても事前に整理しておく必要があります。
買主側にとっては入居やリフォーム開始時期に影響するため、スケジュール調整も重要なポイントです。

このように引渡猶予は、売主・買主双方の事情を調整する有効な仕組みである一方、権利関係が複雑化しやすい側面もあります。
期間・条件・費用負担を契約書や特約で明確に定め、リスク管理を徹底することが、安全で円滑な不動産取引につながります。

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